未回収の謎・伏線をごっそり残しながらも、作品のテーマはわりと最終回で異様に分かりやすく示して終幕する系の平成仮面ライダーらしく『仮面ライダーカブト』も最終回を迎えたわけだけど、シロクマさん的には未消化伏線云々よりも、最終回のファイナルバトルでテーマ曲がかからない方が気にかかる。アギトのラスト3以降からしか平成仮面ライダーは見てないけれど、どの作品も、最終回に限ってバトルクライマックス・変身シーン・ライダーキックシーンでこれまで使用してきた主題歌をかける演出をやらないように落ち着いてる。ラスト2でほぼ主題曲と言える「かがやき」が響鬼さんと明日夢くんのシンクロ演出の所でかかった『仮面ライダー響鬼』くらいかなぁ。かろうじてファイナルバトルでかかったと言えるのは。最終回ラストシーンでかかりはじめるエンディング曲の方に注目してもらいたいという意図なのかもしれないけれど、シロクマさんとしては遠慮せずにガンガンかけて欲しい。その辺りは、プリキュアシリーズの方が、毎年最終回のクライマックスバトルにガンガン主題歌をかけて、ラストシーンのエンディング曲はそのシーン専用のオリジナル歌というサービス精神旺盛っぷりで、シロクマさん的には「それだよ!」と思う。

 その観点から、出色なのは劇場版アギト、『仮面ライダーアギト PROJECT G4』だ。平成ライダーの劇場版の中で(『響鬼』と『カブト』のは実は見てないけど)一作お勧めするのならコレ。他の劇場版もかなり燃えるんだけど、一点、この『アギト』の劇場版だけが、クライマックスのファイナルバトルのライダーキックシーンで主題歌がかかる。というか、ヒロインを助けに行くというシチェーションで、絶体絶命のピンチの所で、ヒロインからの想いパワーが主人公に届き、新フォームにパワーアップする所で「ジャジャン♪ジャンジャジャン♪」と主題歌がかかり始める。後は、ライダーキックでボスキャラを爆破するまで主題歌かかりっぱなし。ここ超燃え。

 話的にも世界がどうこうという感じになる大きな話ではなく、とらわれのヒロインを我らが仮面ライダーが助けに行くといういたってミクロで万人的に共感しやすいお話なので、平成仮面ライダー観たことないけど、どれか一つ観るのを選ぶのが大変だ。そもそもTV放映版全部観るとなると50話あまりあるからどうにも躊躇われる……みたいに思ってる人は、一つ、この『仮面ライダーアギト PROJECT G4』が入門用にお勧め。映画一本分の時間で、平成仮面ライダーの燃えを十分に体験できるよ。

 あー、また観たくなってきた。ギルスが好きだったなぁ。

仮面ライダーアギト PROJECT G4 ディレクターズ・カット版

劇場版 仮面ライダーアギト PROJECT G4