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疲弊するシロクマ  介護のつらい所は、どんなに頑張っても明確なリターンが無い点。仕事がつらいという愚痴はそこかしこに溢れていても、仕事だったらつらいと言いつつもやりきれば対価として給料を貰えるわけだし、うまい具合にやってのければ組織の中なら周囲から認められるといった充足感のリターンがある。

 が、介護にはそれがない。やればやるほど(在宅の仕事に回す時間が減って)収入は減るし、やればやるほど周囲からの目は冷たくなる。

 「で、何で就職しないの?」

 という身内の言葉が一番きつい。あれこれ説明しても、どうしても「在宅介護と一般就職は両立不可能」という真実には目を向けて貰えないらしく、とにかくダメな無職無能力者としてカテゴライズしたくてしょうがないという視線を一心に投げかけてくる。

 少し遠縁の身内から言われるのならまだしも、父シロクマから「もっと外に出ろ」と言われるのもつらい。最初にこの言葉を聞いた時は正直驚いた。食事もトイレも一人ではできず、てんかん発作のために常に誰かついているように医師から言われてる母シロクマを放っておいてシロクマさんが外に出られるわけはないのだけれど、どうも父シロクマは本気で言ってるらしかったのが怖かった。

 後であまりに(父シロクマが)疲れていたため、どうも上述の身内の人と同じで、「母シロクマを介護しながらシロクマさんが外に出ることはできない」という部分の真実をねつ造の記憶で歪曲して、なんとかシロクマさんにあたることで自己を保とうとしているのだと気付いたのだけれど、初めて聞いた時はついまっとうな正論として、「その間母シロクマのことは誰が見てるんだ?」と言い返してしまった。結果、父シロクマは根拠もなく「なんとでもなるだろ」と激昂し、その場にいて負荷に耐えられなくなった母シロクマはてんかんの発作を起こした。

 父シロクマの脳内にはまだどこかに健常な母シロクマにエリートコースを突き進んで外で快活に働いてるシロクマさん……という叶わなかった幸せな老後があるらしく、疲れて、かつアルコールが入るとそんな記憶が甦ってきて、現在の現実の方をねじまげて否定したくなるのだ。ゆえに、現在のあり得た未来とは違ってしまった母シロクマやシロクマさんを責め立てる。

 母シロクマは全て自分がこうなってしまったせいで父シロクマもシロクマさんも苦労してるのだという想いがあるため、その事実にスポットがあたるとてんかんの発作を起こす。ゆえに、最初に父シロクマが血迷ったことを言い出してシロクマさんが普通に返答してしまって母シロクマが発作を起こして以来、父シロクマも反省してそういった妄言はタブーになった。

 ……のだけれど、喉元過ぎれば熱さを忘れるというか、ここ数日また妄言で母シロクマやシロクマさんを責めだして、結果、火曜日のデイの日に母シロクマはてんかんの発作を起こした。母シロクマはもちろん、週一回7時間だけ介護から解放される時間がダメダメになってしまったシロクマさんも大ダメージだ。だけど父シロクマだけを責めることはできない。とにかく、父シロクマは仕事と家事と介護で疲れ切っているのだ。妄言で誰かを責め立てて、現実逃避したくなる気持ちも分かる。シロクマさんが父シロクマがやってる分の家事も介護も全てやりつつ、自分の在宅ワークの質も落とさないパーフェクトシロクマだったら父シロクマの負担も少なくなってなんとかなるのかもしれないのだけれど、残念ながら現在のシロクマさんにはそれほどの力は無い。

 最新の政府の決定でも、リハビリが必要な患者でも病院にとどまれるのは180日までで、その後は介護保険でカバーという方針を打ち出している。つまり、シロクマさん家の母シロクマのように半身不随で失語になっても、病院には半年しかいられず、あとはおのずと在宅介護生活が待ってるというわけだ。なかなか、今、この文書を読んでるあなたにとっても人ごとでは無い。何故か身近な回りでも、国家レベルでも、「在宅介護生活と一般就職労働は両立できない」という真実をうやむやにしたまま話が回ってるのだけれど、もし、シロクマさんのようにある日唐突に当事者になったら、あなたは自分と大事な人を守れるだけのスキルがありますか?

 とにかくお金がいる。シロクマさんがもう少し稼げれば、旅費と報酬を出して遠方の姉シロクマに数日来て貰ったりして、妄言を語り出すまでへとへとになってる父シロクマを少し休ませてあげたりもできるのだ。

 そう思って、どんなに身内や父シロクマから「どうして外で働かないんだ?」という妄言を投げかけられても、「じゃあ、その間母シロクマは……」という喉まででかかった言葉を飲み込んで(これを聞くと母シロクマは発作を起こしちゃうから)、なんとか皆が寝静まるのを待ってシロクマさんはお金を稼ぐためにパソコンに向かって働いてる。

 何かがとてもつらいと思うから、こういった現状は社会的なレベルで変えなきゃいけないと思ってる。それが、日頃個人主義なシロクマさんが密かに胸に秘めている、社会的なレベルでの目的だ。

 なんか暗いムードの話で申し訳ない。だけどシロクマさんも二週間に一回くらいはパソコンの前で頭抱えてうずくまっているのでした。